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タイ株式市場ガイド — 海外投資家向け
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タイ株式市場ガイド — 海外投資家のための完全ガイド

タイは東南アジアで2番目に大きな株式市場でありながら、外国語で得られる情報が最も少ない市場のひとつです。目にしたことがあるとすれば、指数ベースのPER、SET指数のチャート、その程度ではないでしょうか。本ページは、私たちが最初にデータを集め始めたときに欲しかった内容をまとめたものです。実際に何が上場しているのか、米国市場と比べてどのような価格水準にあるのか、海外投資家は実務上どのように株式を保有するのか、そしてどこに落とし穴があるのか。

以下の数値はすべて、タイの上場普通株式866銘柄全体を対象に日次で再計算される当社スクリーニングデータベースに基づいています。市場構造や税制など、市場データ以外の記述には出典をリンクで示しています。

タイ市場を一段落で

タイには2つの市場があります。SETはメインボードで、上場普通株式は629銘柄。mai(Market for Alternative Investment)は成長企業向け市場で237銘柄です。両市場を合わせた時価総額は約20.6兆バーツ。これは米国の大型テクノロジー企業1社とほぼ同じ規模であり、まず最初に頭に入れておくべき点です。この市場では中型株のポジションでも十分な意味を持ち、制約となるのは通常、バリュエーションではなく流動性です。

米国株と比べたタイ株の価格水準

多くの人がまず参照するのは指数のPERですが、どちらの指数も少数の銘柄に支配されているため、あまり有用ではありません。全上場普通株式の中央値の方が、実態をより正確に示します:

中央値 タイ 米国
PER 12.39 (n=757) 18.16 (n=3,921)
PBR 0.80 (n=861) 1.58 (n=5,593)
配当利回り(支払企業のみ) 4.71% (n=560) 2.62% (n=1,966)
ROE 6.01% (n=844) 5.49% (n=5,365)

赤字企業や有意な数値のない企業は各中央値から除外しているため、行ごとにサンプル数が異なります。PERが存在しない2,445銘柄の米国株を黙って含めた「市場平均」を引用すること——それが多くの比較が誤る原因です。

表を横に読めば構図は明確です。タイ企業は利益に対して割安、資産に対しては大幅に割安、配当はおよそ2倍。それでいて自己資本利益率は、分布の中央で見れば米国企業に見劣りしません。この組み合わせこそ、この市場が興味深い理由です。同時に、慎重になるべき理由でもあります。長期間割安なままの市場には、たいてい割安である理由があるからです。その理由はThai Stocks Trade Below Book Value — Here's Why(英語)で詳しく扱っています。

構造的な違いはインカム

配当の差は誤差の範囲ではなく、市場文化の違いです:

上場普通株式に占める割合 タイ 米国
何らかの配当を支払う 65% 29%
利回り3%以上 49% 13%
利回り5%以上 30% 7%

タイ市場ではほぼ半数の銘柄が3%超の利回りを持ちます。米国では8銘柄に1銘柄です。インカム重視のポートフォリオを組むなら、これは質的に異なる機会集合です。ただし失敗のパターンも質的に異なります。タイの高利回りは、増配の結果ではなく株価下落の結果であることが少なくないのです。両者の見分け方はThai Dividend Stocks: 49% Yield Above 3%, vs 13% in the US(英語)で順を追って解説しています。

集中度:1社で市場の6分の1

時価総額最大の上場企業は、その1社だけでタイ市場全体の16.8%を占め、上位10社の合計は50.5%に達します。インデックスを買うことは、近似的には10社への賭けです。時価総額上位10社は次のとおりです:

# 銘柄コード 企業名 セクター
1 DELTA Delta Electronics (Thailand) 資本財
2 ADVANC Advanced Info Service 通信サービス
3 PTT PTT エネルギー
4 GULF Gulf Energy Development 公益事業
5 AOT Airports of Thailand 資本財
6 KTB Krung Thai Bank 金融
7 PTTEP PTT Exploration and Production エネルギー
8 KBANK Kasikornbank 金融
9 SCB SCB X 金融
10 TRUE True Corporation 通信サービス

市場は何でできているか

時価総額の合計で見ると、タイ市場は資本財・金融・エネルギーに傾いており、米国指数を支配するソフトウェアやバイオテクノロジーの比重はごくわずかです:

セクター 企業数 時価総額(10億バーツ)
資本財 166 5,542
金融 76 3,728
エネルギー 19 2,255
通信サービス 34 1,754
公益事業 35 1,631
生活必需品 98 1,508
一般消費財 131 1,182
不動産 96 1,000

米国株ポートフォリオから見た場合、タイは「同じものを割安に買える」分散先ではありません。セクター構成そのものが異なり、それが両市場の相関が完全でない理由の大半です。

海外投資家は実際にどうタイ株を保有するのか

ここでつまずく人が多いのは、タイの上場株式が単一の商品ではないからです。企業には外国人保有制限があり、取引所はそれに対応するため複数のボードを並行して運営しています:

  • 外国人ボード(F株) — 外国人名義で登録される株式。経済的権利議決権の両方が得られますが、それは企業の外国人保有枠(フォーリンルーム)に空きがある間だけです。枠が希少であるため、外国株はローカル株に対してプレミアム付きで取引されることが少なくありません。
  • ローカルボード(L株) — 主要な流動性プールです。外国人も値動きを取るために売買はできますが、権利確定日にローカル株を保有していても、配当を受け取る権利も議決権もありません
  • NVDR(議決権なし預託証券) — この問題を解決するために取引所が2000年に導入した仕組みです。NVDRはローカルボードで普通株式と同じ価格・同じ板で取引され、配当を含むすべての経済的利益がそのまま受け取れます。付いてこないのは議決権だけです。

経営への影響力ではなくリターンを目的に買う大半の海外投資家にとって、NVDRが標準的な選択肢であり、通常は証券会社が自動的にNVDRへ注文を振り向けます。ガバナンスへの参加が運用方針上必要な場合はF株が必要になり、フォーリンルームの残量を監視することになります。詳細な仕組みはThanathip & PartnersClearstreamのタイ市場プロファイルが、ここで再現するには詳しすぎるほど丁寧に整理しています。

税金の概要

タイ側では、上場株式の配当に対して10%の源泉徴収税がかかります。タイ証券取引所(SET)を通じた上場株式の売却益は、タイ国内で事業を行っていない外国人個人投資家であれば原則として非課税です(証券会社経由の取引所外売買や法人の場合は扱いが異なります)。詳細は取引所の税制ページをご覧ください。

日本側では、日本の居住者は全世界所得が課税対象となるため、タイ株の配当・売却益はいずれも日本での申告対象です(上場株式等の配当・譲渡益の税率は現行20.315%)。タイで源泉徴収された10%は、確定申告により外国税額控除の適用を受けられる場合があります。日本とタイの間には租税条約(1990年8月30日署名、1991年1月1日発効)があり、二重課税が調整されています。条約上の配当の限度税率は15〜20%ですが、タイ国内法の10%の方が低いため実務上は10%が適用されます。

本ページは税務アドバイスではありません。実際の取扱いは税理士等の専門家にご確認ください。

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よくある質問

外国人はタイ株を直接買えますか?
買えます。海外投資家はローカルボード、外国人ボード、NVDRのいずれでも取引できます。実務上の違いはアクセスの可否ではなく、どの権利が付いてくるかです。ローカル株は権利確定日の配当も議決権もないまま値動きのみ、NVDRは議決権なしで配当あり、F株はフォーリンルームが続く限り両方が得られます。

タイの上場銘柄数はどのくらいですか?
普通株式は866銘柄で、SETに629、maiに237です。ワラント、ETF、優先株、預託証券を含むすべての上場証券を数えると1,285になります。

タイ株は米国株より割安ですか?
最も一般的な2つの指標で見れば、割安です。タイ上場企業の中央値はPER12.39倍、PBR0.80倍で、米国はそれぞれ18.16倍、1.58倍です。それが「割安」なのか「正しく価格付けされている」のかは別の問題で、過去10年のリターン記録は後者の解釈を支持する材料です。

タイ市場の配当利回りはどのくらいですか?
配当を支払う企業に限れば中央値は4.71%で、米国の2.62%を上回ります。タイ上場普通株式の49%が3%以上の利回りを持ち、米国では13%です。


本記事は情報提供のみを目的としており、個別の投資助言・税務助言ではありません。数値は当社スクリーニングデータベースから自動生成され、日々更新されるため、閲覧時点では本文の値と異なる場合があります。過去の実績は将来の成果を保証するものではありません。